院長コラム

緊張型頭痛と片頭痛の違い

疾患説明

片頭痛と緊張型頭痛

頭痛の中では片頭痛と緊張型頭痛がとても多いのですが、これらがどう違うのかの区別がわからない人も多いことから、今回はこの2つの頭痛の間で何が違うのかを中心に説明いたします。

何が違うの?

頭痛の中では1番目・2番目に多い頭痛がこの2つの頭痛です。片頭痛はズキンズキンと脈打つ感じで緊張型頭痛はズーンと頭が重たい感じと言われるのが代表的です。

しかし、頭痛で困っている人にとってはこの違いが必ずしもはっきりとしていないことも多く、中にはどちらの痛みも一度に感じていることがあります。

今回はこれらの違いを理解することで、今困っている頭痛がどっちのタイプでどう対処したらいいのかといった対策を立てるのに役立つといいなと考えております。

頭痛の有病率

1997年に海外の専門誌に掲載された研究論文によると、日本国内で行われた調査結果では片頭痛と診断された人は8.4%である一方で緊張型頭痛は22.4%と約2.7倍多いことが分かっています。

特に緊張型頭痛は人生の中で経験する頭痛としての生涯有病率も30~78%と報告されており、たくさんの人が経験する頭痛でもあります。一方、片頭痛は一部のなりやすい人に発生する傾向が認められていて、頭痛が発生する原因も緊張型頭痛とは異なります。この片頭痛で悩む人達にとっては、両方の頭痛を持っていることが多いために今起こっている頭痛はいったいどちらのタイプなのかの区別が必要となります。その理由としては、片頭痛による頭痛の場合には飲む薬が片頭痛用の薬であり、これを飲むタイミングが重要であるからです。

頭痛の特徴

痛みの性質だけで区別しようとすると片頭痛の人では頭痛の発作がはじまった時に両方の頭痛の特徴を感じることも多くてどの頭痛であるのかを迷うと思います。片頭痛の場合では片頭痛の治療を優先させた方が痛みに対する効果が得られるので、ズキンズキンと痛みがしてきたところで片頭痛薬を飲む必要があります。

では、肩こりがひどくなってきて痛み出したら緊張型頭痛なのかというとすべてがそうとは限りません。ここが厄介なところです。片頭痛の予兆の段階でも肩こりが出てくる場合があって緊張型頭痛に似ています。そのために肩こりの酷くなってきた時点では頭痛の種類を違いを見極めるのがとても難しそうです。したがって、頭痛がひどくなるのがとても不安で心配であるということであれば、まずはじめに痛み止めを飲んでしまうことにしている人もいると思います。しかし、このような人では薬の飲みすぎに注意が必要となります。

飲み過ぎ注意!

大きな違いは

頭痛の時に、ズキンズキンとした脈打つ痛みか頭の重い感じとかの痛みの感じ方以外での違いはズバリ「身体を動かしても頭痛が悪化しないかどうか」です。

緊張型頭痛では運動により悪化しないのが特徴なので、仕事中に頭痛を感じるとデスクワークでは姿勢が固定されるために頭痛がし始めると辛く感じますが、身体を動かすような作業や活動を続けても頭痛がひどくなることがなくて済みます。

一方、片頭痛の場合は身体を動かすことで頭痛が悪化するので、身体を動かすよな活動が続くと痛みがひどくなるだけではなく、だんだんと吐き気がしたり気分が悪くなってきて、最後には嘔吐してしまったり、動くことが辛すぎて横になって休んだりすることが必要となります。その結果、学校や職場を早退するとか、症状がひどくて病院を受診することになります。片頭痛発作であれば、適度なタイミングで片頭痛の薬を飲むことで少しの休憩をとるだけで大丈夫なこともありますので、頭痛を我慢せずに片頭痛の治療を受けるようにしましょう。

頭痛に効く体操などが紹介されていることがあります。これらは緊張型頭痛の人に対するものだと思ってください。片頭痛に効くためにはある程度の運動を行っていると予防効果はあるのですが、片頭痛の時に頭痛体操をしなければとは思わないように気をつけてください。

 

とは言っても

片頭痛と緊張型頭痛との違いがはっきりと区別できないことも多くあります。何故ならば、片頭痛の前兆として緊張型頭痛のような首回りや肩の凝り・張りが出てきて痛みを感じる場合があるからです。

さらには緊張型頭痛自体の原因は明確になっていないので、現在も頭痛学会などの専門家の中でもいろいろと議論が交わされております。ただし、経験上では運動による症状改善や予防効果が得られているので、緊張型頭痛に日々悩んでいる人たちは自分でできることから取り組むことをお勧めいたします。

いかがでしたでしょうか?

違いがわかると対処の仕方も変わってくると思います。少しずつでも自分の抱えている頭痛が理解できてくるとひどくならないのではないでしょうか。いろいろと対策を立てて乗り切っていきましょう。スッキリとした日常を取り戻せることを願っております。