薬物乱用頭痛

薬物乱用頭痛とは

薬物乱用頭痛薬物乱用頭痛とは一次性頭痛のための頭痛薬を3か月以上に渡り定期的に内服しており、月に10日または15日以上起こる頭痛と定義されています。内服している薬の種類によって月に10日だったり15日だったりします。(トリプタン系やオピオイド系は月に10日、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)やアセトアミノフェンは月に15日)
もともと日常的に頭痛で悩まされているので、頭痛が起きると頭痛薬をすぐに飲んで対処している人の中では薬の飲み過ぎになっている場合があります。目安としては月に10日以上(薬の種類によります)頭痛薬を服用していると薬物乱用頭痛になっているかもしれません。 ここで注意が必要なのは内服回数ではなく日数で評価を行います。これは診断を行うためには頭痛が何日あったかが基準になっているからです。頭痛があって1日のうちに1回の内服でも1日ですし、3回の内服でも1日と数えます。1日1回の内服を3日間行った場合は3日と数えます。
この薬物乱用頭痛がどのくらいの頻度で発生しているのかというと、統計的には人口の1~2%とされており、性別では女性に多いです。
薬物乱用頭痛になり易い人は精神的な原因として気分障害を持っている人が典型的とされます。気分障害とはうつ病または双極性障害のことです。また、依存傾向のある人やひどい頭痛の経験がありその記憶から頭痛に対する恐怖心の強い人、頭痛が起こるのではないかとの不安感が強い人になります。さらには、喫煙習慣と運動不足でリスクは2倍ほど高くなるといわれており、低所得や教育歴の低さもリスクになると考えられています。
また別の問題としては頭痛に対する知識の少ない医者による不適切な薬物指導もリスクになります。「市販薬の内服を続けるよう指導」「緊張型頭痛患者にNSAID内服を毎日するよう指導」「片頭痛患者にトリプタン系の処方をするも内服指導をしない」「予防薬を1~2週間のみ処方される」というものが代表的です。これらに当てはまる場合には専門医の受診をお勧めいたします。
薬剤乱用頭痛になる人のほとんどは一次性頭痛があり、この頭痛が繰り返すことが原因となって痛みの侵害刺激により中枢性感作が起きてきます。この感作が起こるために痛みを感じる受容体感受性の変化が起こり、少しの痛みでも強い痛みに感じてしまう様になってきます。片頭痛や緊張型頭痛の慢性化と同じ様な変化です。ただし、この薬物乱用頭痛の場合は薬を飲み過ぎてしまうことに大きな違いがあります。

鎮痛薬を頻繁に
服用する方は注意

痛み止めの薬には様々な種類があります。頭痛に対して市販または処方される薬も種類が多く、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)、トリプタン、複合鎮痛薬(鎮痛薬とカフェインの合剤など)、エルゴタミン製剤などがあります。
今服用している薬がどのような成分のものであるのかをしっかりと確認しましょう。これらの薬を頭痛のために飲み過ぎてしまうと薬物乱用頭痛になります。
特に無水カフェインを含む薬はスッキリした感じが得られやすいものの、服用の依存性が高くなる傾向があります。

薬を服用したら、
記録しましょう
(頭痛ダイアリーのすすめ)

頭痛ダイアリー記録(頭痛ダイアリー)を付けることによって、どのような頭痛が何時ごろに起こりやすくて薬が効いたのかどうかの判断がしやすくなります。最初のうちは記録を忘れてしまうかもしれませんが、まずはわかる範囲で記録を付け始め、頭痛が起きた際に服用した薬とその薬が効いたかどうかも必ず記録しましょう。これを続けていくことで、実際に一か月のうち何日間頭痛があって、薬を飲んだのかが分かるようになるだけではなく、どういったとき(天気や仕事、ストレスからの解放、生理中)に頭痛が起こりやすいのかが把握できるようになります。この傾向が分かってくると、事前に対策もしやすくなってきますので、将来のためにも記録をはじめてみましょう。

こんな状態では
ありませんか?

  • 頭痛が月に15日以上ある
  • 頭痛薬を月に10回以上飲んでいる
  • 頭痛が心配で予防的に市販薬を服用してしまう

薬物乱用頭痛の治療

薬物乱用頭痛に対する治療は3つの原則に基づいて進めます。

  1. 原因になっている薬の中止 
  2. 痛い時の(代わりの)薬 
  3. 頭痛の予防療法

睡眠障害などが生じてきます。これらの症状が出てきた場合の対処として各々の症状を抑える薬を内服することで凌いでいきます。
頭痛に対する代わりの薬は違う系統の痛み止めを使いますが、場合によっては漢方薬を併用します。
また予防薬は精神安定剤であるアミトリプチリンを中心として片頭痛の予防で使用するものが中心になります。
最初の離脱症状が出る時期が一番大変ですがとても重要な時期になります。このような離脱療法を進めることで2~6か月で約70%の方が改善します。ただし、油断をするとまた頭痛が始まり、飲み過ぎの原因となった薬を再び飲み始めてしまう人がいるので、治療開始から一年後には3割の人で再発するといわれます。
いったん飲み過ぎをやめることができても再発してくる危険性としては、緊張型頭痛であることやオピオイドの使用による薬物乱用頭痛、うつ病などの精神疾患の治療を受けている、長期間にわたる薬物使用過多歴です。
さらには心気症、うつ、パラノイア、恐怖、強迫性障害などの精神疾患があるということも治療がうまくいかないことと関連性があるとされているので該当する人は要注意です。
飲み過ぎに注意することは良く知っていることだと思いますが、正しい情報や指導を受けていても、いざ頭痛が始まるとこのようなメッセージを覚えていられないか、正しく理解しておらずについ鎮痛薬を飲んでしまうなどが原因だと考えられてもいます。頭痛に対する薬剤の使用だけではなく、日常の生活においてはストレス、毎日の喫煙、運動不足、肥満などに留意していただき、飲み過ぎないように注意を払い続けることが大切です。
当院では頭痛専門医が治療を行いますので、心当たりのある人はご相談ください。

頭痛の頻度や強さが増えた
場合は
ご相談ください

頭痛の頻度や強さが増えた 場合はご相談ください薬物乱用頭痛は比較的なり易い病気でもあり、特に病院にかかることなく薬局で手に入る市販の頭痛薬を常用することによって起こる場合もかなりあります。以前から頭痛持ちだけど病院にかかる時間的な余裕がなくて忙しくしている人は要注意です。
頭痛外来での治療で薬物乱用頭痛を解消し、本来の一次性頭痛の治療を行うことで生活の質の向上を図りましょう。薬物乱用頭痛を放置していると頭痛の悪化や薬による副作用の心配もあるため、早めのご相談をおすすめします。
ただし、薬を飲み過ぎないようにと意識していただく一方で、頭痛の回数が急に増えてきた場合は頭の中で別の病気(二次性頭痛)を発症していないかの注意も必要です。この場合も鎮痛薬を飲むと頭痛が治まるものの、すぐにまた痛くなるという症状が続きます。このようなときに原因として考えられることは脳腫瘍や副鼻腔炎、甲状腺機能障害などが代表的です。これらは病院で検査を受けてみないと分からないので早めにご相談ください。