院長コラム

群発頭痛について

疾患説明

群発頭痛について説明いたします。

群発頭痛という名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、強烈な痛みが目の周りや奥にかけて発生し、これが繰り返し起こるもので頭痛の一種に分類されております。片頭痛と比べるとこの頭痛になる人は少ないのですが、突然の痛みが出た場合に備えて知識として理解しておくことも大切だと思います。

群発頭痛とは

群発頭痛はCluster Headacheのことであり、ひどい頭痛発作が繰り返されて群発するためにこのような名称になったようです。現在では頭痛の起こり方と痛みに伴って発生する随伴症状に主眼がおかれています。このような症状との関連を探ることでしっかりとした診断を行い、治療に結び付けていきます。

以前は群発頭痛の発生率は人口10万人に対して男性15.6人、女性4人とのデータがあり、年代としては20~30才代に多いとされていました。しかし、最近の調査では男女差が縮小してきて女性の群発頭痛も稀ではないようです。

群発頭痛と三叉神経自律神経性頭痛(TACs)の特徴

群発頭痛は、ある日突然目の周りに強い痛みが発生してこれが連日起こる頭痛です。痛みの続く時間は15分~180分とされており、痛み出すと連続的に痛みが出てくるのが特徴です。多くの場合は毎日のように同じ時間帯に痛みが起こり、ある程度の日数が過ぎると治まってきます。ただし、毎年同じ時期に繰り返すことも多く、この傾向のある人は痛みが起きる時期になると薬を準備して備える場合が多いです。時にはこの痛みが1年以上にわたり発生し、頭痛発作を繰り返すものは慢性群発頭痛とされています。

最近の分類では群発頭痛は三叉神経自律神経性頭痛(TACs:trigeminal autonomic cephalalgias)という分類に入ります。これは片側の酷い頭痛発作に加えて同じ側に自律神経の症状を伴う一次性頭痛のことです。三叉神経自律神経性頭痛には群発頭痛のほかに発作性片側頭痛(片頭痛とは違います)や短時間持続性片側神経痛用頭痛発作(SUNCT/SUNA)持続性片側頭痛があります。これらの病気は痛みの出る場所と自律神経症状の出る場所はほぼ同じですが、違いとしては痛みの酷さや痛みが続く時間、日数などがあります。

痛む部分については特に三叉神経第一枝の領域に多く発生するので、片側のおでこの部分や目の周りが痛みます。自律神経の症状というのは目が潤んで涙が出てきたり、結膜が充血したり、鼻水が出てきたり、鼻が詰まったりするなどの症状のことです。これらの症状が痛みの発生している時に痛いところと同じ側に出現します。

群発頭痛は男性に比較的多く、痛みが発生する部分は三叉神経痛と似ているのですが、三叉神経痛と大きく違う点として不応期というものが群発頭痛にはないことです。この不応期というのは、痛くなった後でしばらくは同じ部分に痛みが発生しない時間のことで、三叉神経痛の時にみられるものです。群発頭痛にはこの不応期がなくて痛みがたて続けに発生します。多くの人では痛みの発作が一年のうちでも限られた期間に集中していて、痛みの頻度は一日に0.5~8回の発作があります。また、痛みが起こっているときには前述の自律神経症状のほかにイライラと落ち着きがなかったり、ちょっと興奮していたりもします。

群発頭痛の治療


群発頭痛の治療には、患者さん自身が群発頭痛についての知識を得て理解を深めることと、頭痛発作時の急性期対症療法と併用して行う予防療法をうまく組み合わせて進めていくことが重要です。

発作が起こって痛い時にはスマトリプタンが有効です。しかし、痛みがひどくて薬を飲むことが出来ない場合には内服薬ではなく皮下注射だったり、点鼻薬だったりで投与します。酸素吸入も効果があり、フェイスマスクでの投与で7L/ 分、15分間の吸入が有効とされています。多くの場合、自宅には酸素吸入の器械は置いてないので、酸素吸入を受けるには病院で治療することになります。自宅でこれらの治療をするためには、すでに群発頭痛と診断がついている人ならば事前にこれらの薬や酸素吸入の器械を病院で手配してもらって入手する必要があります。酸素吸入の手段の一つとしては、群発頭痛との診断がついていれば、発作が起こる時期に合わせて在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)という手段もあります。これは酸素濃縮装置または液化酸素装置、酸素ボンベを用いて自宅で高濃度の酸素吸入をする治療方法です。火がつくと危ないなど取り扱いに注意が必要なので、実際には自宅での使用の際は機器の使用方法および緊急時の対処法などについて十分に説明を受けてから使用する必要があります。この中では酸素濃縮装置が手軽で使いやすく、その仕組みは空気中の酸素を濃縮して吸入するための器械なので最大の酸素濃度は90%程度までとなり、使用する酸素の流量が多くなると濃度は低くなってしまいますが、電源さえ確保できれば長時間の使用が可能であるために屋外でもバッテリーなどで給電できれば稼働ができて便利です。液化酸素装置や酸素ボンベも利点・欠点があるので用途に合わせて準備する必要があります。どうしても酸素吸入で治療を受けたい場合には担当の先生とよく相談しましょう。

TACsの痛みが続く時間

上図のようにTACsの中でも頭痛の種類によって痛みが持続する時間が異なります。群発頭痛では15~180分であり、発作性片側頭痛では2~30分、短時間持続性片側神経痛用頭痛発作(SUNCT/SUNA)は1~600秒と短時間です。これと比較して顔面が突然痛くなる三叉神経痛の場合では痛みが0.1~2分とされ、不応期があります。

頭痛が短時間の場合には病院にかかるまでの時間で痛みが治まってしまうことが多く、しっかりとした診断には時間を要することが多いです。

顔面神経麻痺・三叉神経痛

頭痛の発作が出る時期が一年の中でほぼ決まっている人ではその期間になる前に発作の予防薬を内服し始めて発作に備えておくこともあります。ベラパミルという薬が一般的には予防効果があるとされます。他にはステロイドホルモンも有効と言われていますので、担当の先生と相談してみるといいでしょう。

さらには自衛策も必要で、痛みの発作の原因になる生活習慣を意識して避けることが発作予防に対してとても有効です。特に飲酒・アルコールが誘因となる人が多いことから、発作の起こりやすい時期にはお酒を飲まないようにするとか、入浴により痛み発作が出る人もいるので、発作時期にはお風呂にはつからずシャワーで過ごすなどといった対策が有効です。

群発頭痛についてはクリニックのホームページでも紹介しておりますので参考にしてみてください。

群発頭痛・後頭神経痛

いかがでしたでしょうか?
片頭痛とは違い特殊な頭痛ですが、このためになかなか診断にたどり着けない場合も多くて困っている人がいます。特に痛みが短期間に連続的に起こって痛みがひどいと病院へ行くのも一苦労です。まずはしっかりとした診断をつけて、適切な治療にたどり着けることを願っております。