院長コラム

片頭痛の予防薬

治療方法

片頭痛の予防療法で使われている薬

片頭痛の頭痛回数が多い方(片頭痛発作が月に2回以上、または生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある方)は予防療法開始の目安です。今回は予防療法で主に処方される4つの内服薬と3つの注射薬について解説します。予防療法の基本としては毎日予防薬を飲む必要があり、徐々に効果が表れてきます。それによってひと月当たりの片頭痛発作の回数が減ったり、痛みが出ている時間が短くなったり、頭痛の強さが弱くなったりすることを目的として治療を進めます。最初の目標は頭痛発作の回数が半分、痛みの強さも半分です。薬を毎日飲む習慣をつけていただく必要があるのと、すぐには効いてこないのでしばらくの間(まずは3か月くらい)はあきらめずに予防の治療を続けていただく必要があります。

予防療法の内服薬は4種類

片頭痛発作の予防薬として投与が認められている代表的な4つの薬を紹介いたします。

ロメリジン(ミグシス)はCa拮抗薬であることから高血圧の人に使用されている降圧薬の系統です。このロメリジンは片頭痛発作の予防療法に特化したものなので他の病気では処方しません。副作用として抑うつ状態の出現に注意が必要とされています。発作の予防に対する有効性はほかの予防薬よりもエビデンスが弱いので推奨度はBですが、安全に使用できることから比較的よく処方されています。

バルプロ酸(デパケン)は抗けいれん薬の系統で古くからてんかん発作治療薬としてよく処方されています。てんかん発作に対する量よりも少ない内服量で片頭痛発作の予防の効果があることからよく処方されています。副作用としては妊娠初期に内服していると胎児に影響して奇形の原因になるとされているので、妊娠中やその可能性のある方は中止となります。あとは消化器症状やふるえ(振戦)が出ることもあり主治医と相談してください。

プロプラノロール(インデラル)はβ遮断薬で主に高血圧や冠動脈疾患、不整脈治療薬として用いられています。持病に喘息や心不全、抑うつ状態などがあると内服できません。また、リザトリプタンとの相性が悪いので、急性期治療で飲んでいるようであれば変更する必要があります。

アミトリプチリン(トリプタノール)は抗うつ薬として以前より使用されている薬です。うつ状態の時に内服する量よりも少ない内服量で片頭痛発作の予防に効果があります。慢性化した頭痛の人の脳の中で生じている中枢性感作の治療にもよく使われています。緑内障の方や心筋梗塞を生じた方などでは悪化する可能性があることから注意が必要です。飲みはじめにふらつき感や倦怠感が出ることがあり、少しずつ量を増やして慣れていく必要があります。内服量が多くなるとのどの渇きやふらつき感を生じることがあるために内服量については主治医と相談する必要があります。

 

抗CGRP関連抗体薬について

片頭痛の病態を後日説明いたしますが、片頭痛発作のときには脳内でCGRPという物質が増加していることがわかっており片頭痛との関係が深いものなのです。実験として、片頭痛持ちの方にCGRPを投与すると発作が起こり、片頭痛持ちのじゃない人にはあまり頭痛が起こらないことから、この物質を抑えることで発作を予防するために抗体薬が開発されました。日本では2021年より投与が可能な注射薬で3種類の薬が使用可能です。ただし、使用するための条件としては内服薬を使った予防療法がダメだった片頭痛の方で注射を受ける際には専門医による指示などがあります。抗体薬は値段も高めなので一回の注射の値段が保険の3割負担で1万3千円くらい(エムガルティは初回のみ2万7千円くらい)かかります。

ガルカネズマブ(エムガルティ)は最初に使用可能となった抗CGRP抗体薬です。脳内に出てきたCGRPにくっついて無効化させて発作を防ぎます。月に1回注射する必要がありますが、初回だけ体内の薬の濃度を十分にさせるため2本注射します。

フレマネズマブ(アジョビ)も抗CGRP抗体薬です。聞き方はガルカネズマブと同様でCGRPにくっついて発作をおさえます。こちらは4週ごとの注射または12週ごとに3本まとめての注射により治療を行います。

エレヌマブ(アイモビーグ)は抗CGPR受容体抗体です。上の2剤と違って細胞側の膜にあるCGRP受容体にくっついてCGRPが効かないようにブロックすることで発作をおさえます。月に1回の注射出の投与です。

これらは薬自体の副作用はあまりないのですが、注射であることからその部分の痛みや腫れなどの反応が出る場合があります。飲み薬が出てくるといいのですがしばらくは予定がありません。

おわりに

いかがでしたか?予防薬は飲んでもすぐには効いてこないので、焦らずにしばらくの間は飲み続けてみましょう。スッキリとした日常が過ごせるように頭痛が予防できることを願っております。