院長コラム

血圧と頭痛の関係は?

頭痛ブログ

血圧と頭痛との関係

以前も高血圧と頭痛の関係を紹介いたしましたが、今回はもうすこし違った内容で紹介いたします。

高血圧と頭痛

なぜ「血圧と頭痛」は話題になるの?

  • 頭痛がするときに「血圧が高くなっているのでは?」と感じる人も少なくないようです。痛みが強くて血圧が高いと脳卒中になったのではと心配になるかもしれません。
  • 最近では家庭用の血圧計の普及もあって、日常の血圧測定が容易にできるようになってきました。その中で普段の血圧が高い人もいれば低い人もいますが、頭痛を感じるときに血圧が高くなっていると感じる場合や低くなっていると感じる場合とその人によって状態が違っています。
  • 血圧は高くても低くても頭痛の原因となりうるので、今回は血圧との関係について説明いたします。

血圧とは?

血液を心臓から身体中に送るために血管にかかる圧力です。心臓の動きの収縮と拡張に合わせて収縮期血圧(上)と拡張期血圧(下)とを測定して評価します。

日本人は食事に含まれる塩分を多く摂取する傾向にあり血圧が高くなりやすいことから、血圧は身近な問題の一つです。高血圧治療管理ガイドライン2025(JSH2025)での定義では正常血圧は診察室血圧で収縮期血圧 120未満 かつ 拡張期血圧 80未満、または家庭血圧で収縮期血圧 115~124 かつ 拡張期血圧 75未満となっています。さらに高血圧の境界線である正常高値血圧は診察室血圧で収縮期血圧 120~129 かつ 拡張期血圧 80未満家庭血圧で収縮期血圧 115未満 かつ拡張期血圧 75未満とされています。

血圧が高いとなぜ注意しなければならないのかというと、まずは高い圧力で血液を送り出すために心臓に負担がかかります。つぎに高い圧力に耐えるために血管が固くなります。これが動脈硬化です。動脈硬化が進むと血管の内側が狭くなってきて血液のめぐりが悪くなります。これが進むとさらに血液を送るための圧力が必要になり血圧がさらに上がるという悪循環になります。動脈硬化が進んで血管の内側が狭くなると血管が詰まる危険性が高まります。もしも詰まってしまうと梗塞を起こすので、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険が出てくるという理由です。

  • 血圧が高い人の目標となる血圧は、診察室血圧:130/80 mmHg未満、家庭血圧:125/75 mmHg未満

血圧と頭痛の関係は?

高血圧が頭痛を直接引き起こすか?

  • 現代の研究報告によると高血圧と頭痛の直接的な因果関係は明確ではないという結果が多いです。

    • 例えば、高血圧緊急症のような極めて高い血圧の状況では血圧の上昇に伴い頭痛が起きることもあります。しかし、持続的に高血圧が続いていると血圧が高いままで変動がないことからか頭痛が引き起こされるわけではないと報告されています。

大規模調査での意外な結果

  • ノルウェーの大規模前向き研究では、高血圧の人ほど将来の頭痛のリスクが低かったという報告もあります(逆説的な関係)。高血圧を推奨するわけではありませんが、頭痛との関係を否定するような研究内容は他にもあり、高血圧患者では頭痛が多いわけではないという結果もあります。

  • 高血圧で「朝起きた時頭が重い」などの症状があると、「血圧が原因」と考える人も多いのですが、レビュー研究ではこの因果関係は複雑であり、必ずしも明確ではないと報告されていますので、関連性はないと考えられます。しかし、高血圧の人は頭痛に関係なく血圧管理を必要としますので、生活習慣の見直しや内服治療を受けてください。


血圧と頭痛の関連メカニズム仮説

なぜ「血圧と頭痛は関係している」と感じる人が多いのでしょうか。そこには、いくつかの医学的な仕組みが関係しているとされます。

まずは、脳の血管の自己調節機能です。私たちの脳の血管は、血圧が多少変動しても血流を一定に保つ仕組みを持っています。しかし、血圧の急激な上昇でこの調節機能がうまく働かなくなり、血管に負担がかかって頭痛が起こるとされています。特に、高血圧緊急症では、この影響が強く出ることがあります。

つぎには「血管と神経の関係」があります。片頭痛では、神経からの刺激により脳の血管が拡張して痛みを引き起こします。血圧の変動がこの神経の刺激に影響し、片頭痛のような痛みを誘発する可能性があります。ただし、これはまだ研究段階の部分も多く、完全には解明されていません。

さらに「自律神経とストレスの影響」があります。ストレスや緊張状態が続くと、自律神経に乱れが生じてきて、血圧が上がりやすくなります。それと同時に筋肉の緊張や血流の変化によって頭痛が起こりやすくなるとされます。そのため、「血圧が原因で頭痛がしている」と思っていても、実際にはストレスが共通の原因になっているかもしれません。

このように、血圧と頭痛は単純な原因と結果ではなく、複数の要因が絡み合って起こると考えられています。


医学的に注意すべきポイント

ほとんどの頭痛は命に関わるものではありませんが、中には早急な受診が必要なケースもあります。

まず注意すべきなのは、「急激な血圧上昇」と「強い頭痛」が同時に起こる場合です。

血圧が180/120mmHg以上になり、今まで経験したことのないような激しい頭痛がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

また、次のような症状を伴う場合も要注意です。

・ある瞬間に突然起こった激しい頭痛
・視界がぼやける、二重に見える
・手足のしびれや脱力、力が入らない
・ろれつが回らない
・吐き気や嘔吐を繰り返す
・意識がもうろうとする

これらの症状が伴う場合は、脳出血や脳梗塞などの危険な頭痛のサインである可能性があります。

こわい頭痛

さらに、「いつもの頭痛と明らかに違う」「時間とともにだんだん悪化している」「薬がまったく効かない」といった場合も、一度病院を受診することをおすすめします。

自己判断で「ただの血圧のせい」「いつもの頭痛だから大丈夫」と放置しないことが、健康を守るうえでとても大切です。

日常生活でできる対策・予防

  • 血圧と頭痛の両方を予防するためには、日常生活の見直しがとても重要です。これは、生活習慣病に対するものと共通するものになりますので、頭痛のない人にとっても参考にしていただきたいです。

    まず基本となるのが「食生活」です。塩分のとりすぎは血圧を上げやすいため、減塩を意識しましょう。また、野菜・果物・魚・大豆製品などをバランスよくとることで、血管の健康を保ちやすくなります。

    次に「適度な運動」です。ウォーキングや軽い体操などを週に数回行うことで、血圧が安定しやすくなり、ストレス解消にもつながります。激しい運動である必要はなく、「続けられること」が最も大切です。

    「睡眠」も重要なポイントです。睡眠不足は血圧の上昇や頭痛の原因になります。できるだけ毎日同じ時間に寝起きし、6〜7時間以上の睡眠を目標にしましょう。

    さらに、「ストレス管理」も欠かせません。仕事や家庭のストレスがたまると、血圧も頭痛も悪化しやすくなります。趣味の時間を持つ、深呼吸をする、軽く体を動かすなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。

    最後に、自宅に血圧計のある人は「定期的な血圧測定」もおすすめです。自宅で血圧を測る習慣をつけることで、体調の変化に早く気づくことができます。特に朝の起床時の血圧と夜の就寝前の血圧がとても参考になります。

    日々の小さな積み重ねが、将来の健康と頭痛予防につながります。


最後に

いかがでしょうか。

血圧と頭痛との関係については議論のあるところですが、これまで科学的にわかっていることとわかっていないことを簡単に紹介いたしました。

わかっていることとしては、高血圧と頭痛の間の単純な因果関係は明確ではないこと、調査によっては高血圧で頭痛が少ないという結果もあることです。

まだ議論があることとしては片頭痛と血圧の遺伝的関連や自律神経との複雑な相互作用などの多くな疑問点があります。

高血圧自体は頭痛に限らず、脳卒中や心筋梗塞などといった病気にもなりやすいため、適切な血圧の範囲で管理することが望ましいと思いますので、日ごろから血圧を測定して気にする習慣があるといいですね。