頭痛がすると気持ち悪くなる
吐き気と頭痛の深い関係
今回はよくご相談をいただく『頭痛と一緒にやってくる吐き気』についてお話しします。
頭痛だけでも大変なのに、さらに胃までムカムカしてくると、もう何も手につかなくなりますよね。頭痛薬を飲みたくても吐き気があって飲めない。無理に飲んだらそのまま薬も一緒に吐いて出てしまった。このような経験がよくあると思います。『これって胃が悪いの?それとも脳?』と不安になる方も多いのではないでしょうか。頭痛と吐き気との深い関係を説明します。
なぜセットで起こるのか?
代表的な原因は、ズバリ片頭痛です。この場合の原因は3つ考えられます。
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1. 脳の誤作動?: 片頭痛の発作が起きると頭の血管が拡張します。これが神経を刺激するときに脳の延髄にある「嘔吐中枢(吐き気の中枢)」にも刺激が伝わってしまうことで吐き気を感じます。「頭が痛いから気持ち悪い」という単純な話ではなく、片頭痛そのものが脳の嘔吐中枢を直接刺激しているためなのです。
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2. 胃腸の動きがストップ: 片頭痛の発作のときは、胃腸の動きが弱くなりゆっくりになってしまいます。これがムカムカの正体です。胃腸の動きが悪くなると、胃の中のものがその先の腸へ行かずに留まってしまうことから、吐き気が出たり、実際にもどしてしまったりするのです。
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3. 薬が効かない理由: 胃腸が動いていないと、せっかく飲んだ頭痛薬もなかなか吸収されません。『薬を飲んだのに効かない…』という時は、このタイミングの問題かもしれませんね。
一方で、片頭痛ではない頭痛でも吐き気がするという人もたくさんいらっしゃいます。この場合は緊張型頭痛という、日本人に一番多いタイプの頭痛でひどくなると吐き気を伴うこともあるんです。
片頭痛の吐き気が「脳の誤作動」なら、緊張型頭痛の吐き気は「全身のSOS」です。
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1. 筋肉の緊張: 首や肩の筋肉がガチガチに固まると、血流が悪くなります。これがひどくなると頭痛が強くなり、気分も悪くなってくることから吐き気が出てきます。
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2. 自律神経の乱れ: 筋肉が緊張し続けると、近くを通っている「自律神経」が刺激されます。自律神経は胃腸の動きもコントロールしているので、ここが乱れると胃がムカムカしてしまうんです。
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3. スマホやPC: 長時間のデスクワークで目を酷使するのも、吐き気を引き起こす大きな原因になります。
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吐き気がするときはどうする?
『気持ち悪くて薬が飲めない!』『飲んでも吐いてしまう…』という人へ。
吐き気があると、飲んだ薬がうまく吸収されにくくなることがあります。薬を飲むタイミングや剤形(薬の形)を工夫するだけで、効き目がぐっと変わります。
まずは、片頭痛が原因の場合の対策です。
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早めに飲むのが鉄則: 吐き気が出てからだと薬の吸収が悪くなります。「あ、これ酷くなるな」という予兆の段階で飲むのが一番です。
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吐き気止めを味方につける: 頭痛薬と一緒に「吐き気止め」を飲むことで、胃の動きを助けて頭痛薬の効きをスムーズにすることができます。
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お薬の形を変えてみる: 水なしで飲めるタイプや、点鼻薬(鼻から吸うタイプ)、注射など、胃を通さないお薬の選択肢もあります。無理して錠剤を飲み込まなくても大丈夫ですよ。
緊張型頭痛が原因の場合は、筋肉のこわばりの解消を目指しましょう。
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15分に一度の『肩甲骨はがし』: ぐるっと肩を回すだけでOK。肩や首周りの筋肉を動かしてあげましょう。
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お風呂でリラックス: 片頭痛とは逆で、緊張型頭痛は温めると楽になってきます。湯船にゆっくり浸かって、全身の血行を良くしましょう。
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枕の高さチェック: 朝起きた時から頭が痛い・重いなら、枕が合っていないかもしれません。起きた時に頭痛がしない高さのものへ調整してみましょう。
普段からできるリラックス法
薬以外でも、こんなことを試してみましょう。頭痛の原因に対する対処でムカつきも落ち着いてきます。
片頭痛の場合は次のことになります。
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1. 暗くて静かな場所で横になる: 光や音の刺激は吐き気を強くします。
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2. 冷やす: 痛む部分を冷やすと、血管が収縮して少し楽になることがあります。
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3. ツボ押し: 手首にある『内関(ないかん)』というツボは、吐き気を和らげるのに有名です。
つぎは、緊張型頭痛が原因の場合の対処法です。今まさにムカムカして辛い時は、こんなことを試してみてください。
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1. 蒸しタオルで首の後ろを温める: 血管を広げて、自律神経の緊張を解いてあげましょう。
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2. 軽いストレッチ: 痛みが激しくなければ、首をゆっくり左右に倒して、固まった筋肉をほぐします。
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3. 深呼吸を3回: 吐き気がある時は呼吸が浅くなりがち。大きく吸ってゆっくり吐くことで、自律神経が整いやすくなります。
おわりに
頭痛と吐き気がセットになると、本当にお仕事や家事どころではなくなってしまいますよね。
頭痛外来では片頭痛発作の時に吐き気止めも一緒に処方しているのですが、吐き気がないのにどうして??と思って片頭痛になっても飲まないでおく人がいます。発作の薬を飲んでもタイミングが遅くなってしまい片頭痛が治まりきらなかった時には特に吐き気が出てしまい、薬が飲めなくなったり飲んでも吐いてしまったりするのでこれを防止するためでもあります。
さらに、前兆のある片頭痛の方の場合では予兆期にはドーパミンという物質が関係していることから、吐き気止めの作用であるドーパミン抑制効果も片頭痛発作を抑える効き目があるために内服を勧めています。”吐き気止め”の薬であるのに発作の予防の効果もあるのですが、この名前に惑わされて飲まないでいると折角の効果を得られないでいることになります。
まずは片頭痛が始まったら適切なタイミングで発作の薬を飲むことを心掛けていただき、一緒に吐き気止めも飲んでみてください。
⚠️ただし、こんなときは早めに受診をしてください!
注意が必要なサイン「今までに経験したことがないほどひどい頭痛」「高熱や首のこわばりを伴う」「意識がぼんやりする」といった症状があるときは脳卒中の可能性もあるので、迷わず病院を受診しましょう。
こわい頭痛
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皆さんの毎日が、少しでも軽やかなものになりますように。
