院長コラム

雷鳴頭痛とは

症状説明

雷鳴頭痛について

英語でThunderclap headacheというものです。あまりなじみのない頭痛だと思いますが、この頭痛の定義は突然発症して1分未満に痛みがピークに達し、その痛みが5分以上続く重度の頭痛とされます。
ようするにある瞬間に激しい頭痛が生じてしばらく続くものを指し、印象としては雷に打たれたような頭痛という感じです。

この頭痛の原因には、次の6つの二次性頭痛で生じるものがあります。

雷鳴頭痛の原因:
・くも膜下出血
・未破裂脳動脈瘤
・頭蓋内動脈解離
・可逆性脳血管攣縮症候群
・下垂体卒中
・脳静脈血栓症
この他にも脳出血や中枢神経系血管炎、第三脳室コロイド嚢胞、低髄液圧症候群、急性副鼻腔炎などがあります。くも膜下出血や動脈解離、脳出血のように急を要する病気が含まれますので、頭部画像診断を受けることをお勧めします。その他の病気については頭部の画像診断だけではなく複数の検査が必要となる場合もありますが、明らかな原因がつかめない場合には一時性雷鳴頭痛との診断になります。

 頭部の画像検査が重要です

頭痛の原因が脳卒中であるのかどうかの診断は画像検査を受けることが重要です。雷鳴頭痛では二次性頭痛の中でも特にくも膜下出血を念頭に調べていきますが、他の原因であっても命に関わることもあり油断ができません。今の日本国内では画像検査がすぐに受けられる病院が多いため、頭部のCTまたはMRI検査を受けることをお勧めします。MRI検査はCTと比べると検査に時間がかかることと検査中動かないでいる必要があること、器械や金属などが体内に入っていると検査ができない場合があることなど制約が多いのですが、利点としては造影剤の注射を行わないで脳血管を調べることができたり、脳自体の構造を細かな描出や多方向からの画像データが取れたりするので診断に重宝しております。もちろん出血の有無も調べられます。

一次性の雷鳴頭痛の場合は咳嗽性頭痛や運動時頭痛、性行為に伴う頭痛のこともあるのでどのようなときに痛みが走るのかを聞いて診断していきます。原因がはっきりしないと治療の薬などが決まらないので、区別していくことが重要です。

MRI検査

可逆性脳血管攣縮症候群(かぎゃくせいのうけっかんれんしゅくしょうこうぐん、RCVS: Reversible cerebral vasoconstriction syndrome)ってちょっと聞きなれない、難しそうな名前ですが脳の血管が攣縮(れんしゅく)することで頭痛が起きます。攣縮は縮こまる状態になることで脳の血管の太さが通常よりも細くなってしまいます。くも膜下出血を起こした人にもなりやすいのですが、このの可逆性脳血管攣縮症候群では出血を起こしていないのに発生するもので、突然頭痛が起こる雷鳴頭痛の原因となっている場合があります。

この病気の診断には頭部のMRI画像で脳の血管を調べる必要があります。この検査でいくつもの血管で攣縮を生じているのを確認できれば診断が確定します。雷鳴頭痛は血管が攣縮することでおこる症状の一つとされています。原因はまだわかっていませんが、痛みが起こるきっかけとしては性行為や労作、息こらえ、入浴、排便、感情の高まりなどの後に突然頭痛が始まってしまい、しばらくの間続きます。痛みが起こると咳をしたりシャワーを浴びたりすると同じような頭痛が起こるようになります。

頭痛が起こり始めてすぐに検査をしても攣縮が見られないこともあるために、数週間にわたって何回か検査を受ける必要があります。治療としては頭痛を抑えることが中心になるのですが、血圧が上がっているようであればカルシウム拮抗薬も有効です。

日が経つにつれて頭痛が治まってくることが多いのですが、人によりRCVSになった後に脳出血や脳梗塞を起こす場合があります。頭痛が薬を飲んでも長引いて一向に治まらなかったり、他の症状が出てきたりするようであればこれら脳卒中を起こしている可能性があるので、改めて脳の検査を受ける必要があります。